現約聖書①

現約聖書①

序章〜歌が奪われた街〜

それでも最期まで父は、
「大丈夫か?」と聞けば、
「大丈夫だ」と答えた。
これはポエムじゃない。

はじめは、
言葉を奪われた。
しばらく黙っていろと言われた。
でも、黙らなかった。

次に空気を奪われた。
それでも何人かは他人の事とした。
だから、空気はあるのに
やがて、使うことを奪われた。

そして、医療を奪われた。
あんなに、
あんなに僕らには選択肢があったのに、
他人ごとにしたせいで、
どこかの誰かのことだろうとタカを括って、
とうとう医療を奪われた。

もう誰も責任すら取れなくなった。
どうすることも出来なくなったんだ。
さいごはもう、「救い」すらも奪われた。
そして「祈り」ことも奪われた。

そう、「怒り」は『完成』した。

悪魔は勝った。
何もせずとも人間は、
自ら神を捨て、神を裏切った。
最後の敵は人だった。
自ら選んだ人だったのだ。

つづく

作:Unknown ”Q”

©2014 PUNK,HARDCORE,JESTA