Beginning to End.-004

Beginning to End.-004

機動戦士ガンダム・パラレルストーリー
【Beginning to End】
第1章 第4話「地球人の計画」

 


 

開発ルームで仮面の男はヒト型の巨大なロボットのようなものの前に座っている。
その横には大きなモニターがいくつもあり、会議中の映像や街の映像、ゲイシャに囲まれて酒を飲んでいる高官の映像、地球の議事堂などの映像が映し出されていた。
どうやら盗撮のようでもある。

「まさか月にもウィルスをバラ撒こうとはな。結局のところ、人の敵は人だな」

「連邦のフォンブラウン市に散布されるウィルス決行時間は、アメリカ東部地球時間12月24日(GMT−5) 午前6時、「0600R」”zero six hundred Romeo”であります!」

「クリスマスプレゼントにしては最悪だな」

仮面の男は部下に冗談を言いながら、

「シャルトリューズは準備は出来ているな!?それとゲインズブール隊、ガイア、オルテガ、マッシュ少尉は私と共に作戦を結構する!ケルベロスは地球圏に気づかれないよう月の軌道上にて地球からの裏側に ヒロディーン粒子散布にて待機!見つかるなよ!」

「ハッ!重力にはお気を付けください!」

「落ちるものかよ、地球みたいな天井になど!」

そう叫ぶと仮面の男は開発ルームからつながる巨大ロボットが待機するモビルスーツデッキに向かっていった。
ノーマルスーツと呼ばれる戦闘用宇宙服はまるでミュータントの体の一部のように装着された。宇宙空間で最も重要とされるヘルメットももはや鎧兜のようであった。

そして仮面の男はシャルトリューズと呼ばれる赤いモビルスーツに乗り込んだ。他の3機はモスグリーンである。
宇宙空間では太陽の光が届く範囲以外で色は意味を為さないが、それでもその1つ目の赤いモビルスーツは隊長機である威厳と存在感があった。背中には巨大なスラスターと共に放射板のような6つのフィンが搭載されている。モスグリーンの3機に比べると幾分かスリムである。3機の特徴は重厚な厚みのあるスタイルに同じく1つ目ではあるが十字型のモニターのようである。その中の1機は顔部分のモニターレンズ部分が特に拡張されている。持っている武装ライフルも他の2機のバズーカタイプというよりはひときわ長く、スナイパータイプと見て取れた。

スナイパータイプに乗り込んでいるマッシュ少尉は片方の義眼が直接コクピットのモニターと連結されている。ゆえに身体の動作には制限がありそうだ。

「大佐!今日は俺の仕事はありますかね!?」

「あるとも思えないが万が一の後方支援だ。戦争を楽しむなよ!」

「今回は政府の秘密裏に行われる偽装テロ行為の阻止と、地球圏に対する宣戦布告だ。見せしめの攻撃だ、ウィルスを積んだシャトルを墜とした後に月面の地球連邦基地を一気に叩く。作戦通りにやれよ」

「了解!」

「では、積年の怨恨を晴らそうとしようか!いくぞ」

4機のモビルスーツは宇宙空間を飛び行く戦艦からまるで落ちるように発進された。
そして青く輝くスラスターの光と共にそれはまるで閃光のように月の光の当たらない裏側のほうへ吸い込まれていった。

人類の新しい戦争が始まろうとしていた。

(つづく)

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