※これはあくまでコバたいの私的妄想的同人的ストーリーであり、あくまで趣味の範囲でありブログです。宜しくお願い致します。
第1章 第1話「地球」
『終わり続ける始まり』。
それは、続いているようでもあり、終わっているようでもある。
始まっているように思えて、始まっていないようにも思える。
決まっていることなんだ。
日差しがまだ鋭い。スペースコロニーと違って地球の太陽は無計画で景色をコロコロと変える。これが地球の大気だということを頭ではわかっているけど、やはり厄介なものだな…と思ってしまう。
地球は、生きているのだ。
アジアの小さな国から発生した人為的な殺人ウィルスは地球に壊滅的なダメージを与えた。
それは人口の20%を死に至らしめた。意図しない意地の張り合いの結果と利権の奪い合いという私利私欲が感染を止めるどころか拡大させ、地球の生態環境を破壊し、国家の脆弱さを露呈し、食物は汚染され、沈静化できないことを知った人類は、結果的には感染者と弱者を宇宙に挙げることで沈静を図った。棄ててしまえば地球は汚染から守れると。
160年前のその事故がきっかけで世界は20年かけて地球政府を作った。
初代大統領はロシア連邦の代表者だったはずだ。ロシアが秘密裏に進めていた宇宙開発は公開され、世界は社会主義や民主主義とのバランスを取りながら人が宇宙に住める環境まで整えることが可能になった。
しかしながら、農作物や新たな宇宙資源はやはり地球の権力者らに委ねられ、利権と癒着とカネの温床になっていた。ヒトは宇宙に弱者を棄民することで進歩を加速させたが、残念ながら1部の人間が宇宙という第2の生活圏を得ても、地球の人たちはわかりあえず何かに縛られ続けている。160年経っても彼らは地球を上だと思い続けていた。
予定のわからない天候や、歩くのが疲れるこの重量に縛られているのだから欲深くなるのは仕方ないことなんだろう。
地球は好きじゃない。
「リアー!リアー・シデンってばぁ!」
甲高い声が僕を呼んだ。メイナ・ワッケインだ。
彼女は7番目のスペースコロニー「グリーン・オアシス」からの幼馴染だ。腐れ縁と言ったら怒られるな。家も間を挟んだすぐ隣りで同じ歳。面倒見の良い性格は姉であり母親だ。そしてハイスクールを卒業をした後もこうやってアナハイム・エレクトロニクス社に共に就職し働いている。
「なんだよ、大きな声で呼ぶなよ」
「だってあなたが返事をしないんだもん!」
エイナ・ワッケインは走って来たのか少し汗の匂いがした。それは僕の男を少し刺激したけど、僕らはそういう仲じゃない。僕という若さがそうさせてるだけだ。
「ねぇ!次のテストは15:00からでしょう?」
「え?エイナもやるのか?」
「私は筆記。途中経過とデータを書いて技師たちとの会話とかを議事録にするだけよ。」
「あんな訳のわからない乗り物のコクピットテストなんて女の子がするもんじゃないよ」
「あら、レディとして扱ってくれるのかしら?アハハ!リアー・シデンったら!」
笑いながら腕に絡みついて来た。だからもう僕らは子供じゃないんだ。と、思いながら僕らは地下1kmにある整備工場へのエレベーターに乗った。
(つづく)